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巻頭通信2018年9月号


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可能性の領域

理事 上野 弘道

先日の総会記念セミナーでお越しいただいた元ザ・リッツ・カールトン・ホテル日本支社 支社長の高野登氏の講演は、大変興味深かったです。変化していく時代に病院経営を時代遅れにしないためや高度成長期とはまるで組織における構造が異なるだけでなく、人生100年時代に年金不安を抱える従業員をマネジメントしていく上でとても示唆に富んだお話を拝聴出来ました。ほんの一部を共有させていただきます。
ザ・リッツ・カールトン大阪で過去に200人限定の1億円の結婚式が企画され、実際にプレスリリースまでされた試みがありました。リムジン、プライベートジェットでイタリアに行き、現地でも贅を尽くした旅行込みの結婚式。こういうとんでもない発想を会議で提案できた若い女性スタッフ。この例から、普段思考回路が固まっていないかという問題提起でした。
組み立てていくことや改善していくということの能力ではなく、とんでもない発想力を生む力をどのように育むのか、そのような文化をトップがどのように作っていくのか、について内省する機会となりました。
高野氏は「4つの線だけで9つ全ての点をなぞる」というクイズ(図1)に例えて説明されました。
図2には新たな交点が生まれています。新たな視点が生まれた瞬間です。
私たちは普段図1にあるようなこの9つの点の中だけで課題解決を考えていないだろうか、という問題の提起です。新たな視点が生まれる外の世界から発想したときに、全く新しいサービスが生まれるのです。(図3)

9つの点を飛び出したときに見えてくるものこそが、「可能性の領域」で、ここで思考回路を回すことで、まだ顧客が気づいていないニーズに行きつくことができるというお話でした。
とんでもない発想を生むコツは視点を変えるという話。これは以前ニュースレターで言及させていただいたセオドア・レビット教授の指摘とつながるように感じます。アメリカの鉄道産業が衰退した理由は彼らが自らの事業定義を鉄道産業であると定義づけていたからであり、もしも当時の彼らが自らを輸送産業と定義づけていたならばどうなっていたのかという指摘です。
もしも動物病院の事業定義を大きく再定義し、現在の動物病院のサービスを見直してみたならば、私たちは9つの点の外に飛び出すことができ、新たな発想を得ることができると思っています。
例えば、ご家族が具合の悪い動物を連れて来られたときに動物病院のマインドは、動物を治療することでご家族に安心をもたらそうと考えていると想像しています。辛そうなところを見ていられないというご家族の気持ちに寄り添った結果だと思います。もしもこれを、大切な子との関係をこれからも安心して楽しくともに暮らして行きたいという想いに対して動物病院が存在すると事業を定義するならば、健康維持や楽しいイベントにまでイメージは拡がり、動物病院が行えるサービスの可能性はとてつもなく大きくなっていくのではないでしょうか?このニーズに対して私たちは何を提供できるのか、新たな定義からそのように考えることこそが、「可能性の領域」から考えるということに繋がるのではないかと感じました。
事業の定義の重要性は現在でも身近に感じる事例があります。米国の様々な航空会社は自らを「人だけを運ぶ航空会社」と定義した結果、過当競争から次々と経営危機に追い込まれたのに対し、同じ飛行機を使っているFedExは陸路と空路を活用した物流システムという新たな事業の定義を考案して世界的な物流企業になっています。かつてのハリウッドも自らを映画産業と定義していたため、後発のラジオ、テレビ、ゲーム、テーマパークなどのエンターテイメント産業に急速に市場を奪われていきました。現在のハリウッドは自らの定義を総合エンターテインメント産業と再定義し、復活を遂げています。
このように経営者が自分の会社をどう定義するか、ということは恐ろしいまでの影響力を持っています。「可能性の領域」を拡げることで、業界としてもそれぞれの動物病院としても発展し続けることができると思います。時代とともに人間の欲望が異なるからこそ、事業を定義し直すことが重要なのだと思います。

さて、今年の年次大会では当協会の40周年記念講演が3つもございます。石田淳氏の「100歳時代の人生マネジメント」、出雲充氏の「僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。」、西村亮平氏の「どうぶつと暮らす幸せな社会を目指して」です。お三方の未来志向の素晴らしい話を拝聴できるまたとない機会です。この日を境に刺激を受け、新たな視点を手に入れ、必ずや参加された皆様の思考の「可能性の領域」を拡げるきっかけとなることと思います。
どうぞ奮ってご参加いただけますようよろしくお願い申し上げます。(参加費は無料です。)
日本の動物病院業界をリードしている当協会の先生方とこれからの動物病院業界の未来を共に創造していくきっかけとなることを願ってやみません。

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