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巻頭通信2018年2月号


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勤務獣医師を考える

理事 藤井 康一

皆様こんにちは、理事をしております藤井康一です。今回は木俣会長の新体制になり初めてのニュースレターを書くことになりました。

今回は勤務獣医師について少し考えている事を書きたいと思います。昔は、すでに死語になっている「代診」という呼び方でしたが、現在は「勤務医」と言う呼び方をよく耳にします。昨年の平成29年度公益社団法人日本動物病院協会の年次大会東京ミーティングで行われたマネージメントセミナーでもコンサルタントの方が最近の獣医学部の学生は開業思考が減ってきて勤務獣医思考が多くなってきていると話していました。動物病院事業が全体的に悪くなっている中で新たに加計学園の獣医学部が増えて、小動物臨床にいく学生が増えるとしたら、それを受け入れる病院がないといけません。現在のところ私の知り合いの多く先生は人が来ない、獣医師が足りないと話をしているのもよく耳にしますのでうまくいきそうだと思います。

 病院経営者の皆さんどうでしょうか?これからは動物病院も勤務獣医師が足りなくて困ると言う事は徐々になくなり、数人の勤務獣医師で病院をしっかりとできる時代が来ることになりそうですか。そしてそこでつとめている勤務獣医師にある程度の高給を支払い、動物病院業界はうまく回り、獣医師の地位はある程度向上させて行くと思いますか。

本当に勤務獣医師を雇っていける動物病院がそんなに沢山あるのでしょうか?現在、獣医師の給料が上がっている状況で本当に雇って良いのでしょうか。個人病院で院長より若い先生を雇い入れることが多いと思いますが、その人に経営を譲る以外の方法でどうやって勤務獣医師として雇うのでしょうか。もちろん二代目がいる病院は問題を二代目に先送りをして、解決している様に見えています。私の知り合いの開業獣医師の方は勤務獣医師を1000万円以上の年収で雇っていますが、その勤務獣医師が50代60代になったときにその病院の経営者はその勤務獣医師よりさらに年を取り、その時に同等の給料をその勤務獣医師に支払えるのでしょうか?数人の勤務獣医師がいたらなおさら大変です。将来を考えると自分より若い勤務獣医師を沢山雇うという事は企業が永遠に同等以上の状態で継続前提での話だと思います。現在の日本は高齢化社会ですから、高度成長期に発展した中小企業はシニア世代の人しか働き手がいなくなっている企業が多くあります。それよりあとの時代に来たペットブームから盛んになった小動物病院業界もペットブームが去った今は同様な光景になると予想されます。

我々獣医師の仕事はマネージメントを除いてはほぼ労働集約型の職業といえるのではないでしょうか?労働集約型の産業とは、事業活動の主要な部分を労働力に頼っていて、売上高に対する人件費の比率が高くなる産業の事を表します。売上を増やそうとするとその分労働者が必要になる産業です。我々の職業はどんなベテランがワクチンを打っても、新人が打ってももらえる値段は同じです。1時間にワクチンを打つ数も診察時間がありますので、それほどベテランだからといって診察数を多く入れる事はできません。また避妊手術なども誰がやっても値段は基本的に同じですよね。確かにベテランだと多くの手術はできますが、新人ならともかく数年すればそれなりの技術をつける事ができます。そうすると年齢とともに給料が上がるシステムは動物病院の獣医師には合わないのではないかと思います。こういう状況ですと、病院が高齢化したときには人件費が上がり売上が落ちると、売上高人件費率が高くなっていくと思います。

それでは勤務獣医師の給料はどこまで経験年数で上げて行きますか?どこまでとは金額ではなく、何歳ぐらいまで昇級して行くと考えていますか?定年まで上がり続けると言う事はないですよね。と言う事はホームドクターとして開業している病院の勤務獣医師として働いているなら昇級は30代中盤辺りで止まってもおかしくはないですね。そこである程度高くなってもまた50代になってマネージメントとかかわらなかったら、給料は減っていくのが当たり前ではないでしょうか?逆を言えばそうでないときっと経営が成り立たなくなってしまいますし新しい獣医師を雇い入れる事はできなくなります。確かに特殊な手術方法を習得して売上げに貢献すればそれなりのインセンティブのような事は行なえると思いますが。一般病院で勤務医を雇う場合は、スキルをつけるごとにある程度給料を上げていき、その後特殊技能、マネージメントなどへの参画でインセンティブをもらうシステムになっていくのではないかと思います。

現在の日本型の動物病院は初診料、再診料などの診察料金が安いために、検査や手術によって顧客単価を上げている病院が多いと思います。そうなると獣医師の場合はレントゲン撮影、超音波、採血そして手術などを獣医師がやらなければいけないので、結果的に稼ぎ出すには獣医師人数とスキルが必要になってきます。そうなると勤務獣医師を雇う病院が増えて世の中に獣医師が足りなくなります。同時に動物病院経営者は勤務獣医師の給料を上げることでより雇用を推進しようとします。これが悪循環となり将来雇っていた獣医師を雇いきれない現状が生まれてくると言う事になります。労働基準法等の法的遵守もこれからは厳しくなりますので、経営者側の考え方を変えていかないといけないと思います。

小動物臨床の世界では、臨床技術はヨーロッパやアメリカ型をすごく高く評価し、それを取り入れている先生が多いように思います。欧米の臨床技術は学びますが動物病院経営をアメリカ型やヨーロッパ型のホームドクターのようにしている人はあまりお見受けしません。これから、小動物臨床の世界を推測すると、動物病院を経営する開業獣医師は将来の高齢化社会のことをしっかりと考えて勤務獣医師の雇用、診療報酬の考え方を決断していかなければなりません。将来的には聴診器一つでしっかりと給与分の売上を上げられる獣医師が必要になってくるのではないかと思います。私は公益法人 日本動物病院協会でこういったことも解決していけたら良いなと考えます。

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