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巻頭通信2018年8月号


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少子高齢化社会と飼育頭数と人口減少社会

理事 市川 陽一朗

近年、少子高齢化と人口減少が盛んに取り上げられています。かつて、成長業界といわれた動物業界も犬の飼育頭数は減少に転じています。猫はかろうじて現状維持でしょうか。
私達動物病院にとって深刻なのは、長年動物を飼育してくださっていた比較的高齢の方が、今飼っていた動物が亡くなったあと、新たに動物を飼っていただけないことです。その理由は、経済的な問題や健康面を含めた現状の問題では無く、15年近く生きる新しい家族の将来を思っての不安からなのです。しかし逆に、この時勢だからこそ、私達の果たす役割がますます重要になってきているのではないのでしょうか。
 先日、東京大学 高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授の『なぜ老いる?ならば上手に老いるにはー健康長寿の鍵はフレイル予防—』という講演を聞きました。「フレイル」とは『加齢に伴う予備能力の低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態』を表わします。フレイルは要介護状態に至る前段階として位置づけられますが、身体的、精神・心理的、社会的、脆弱性を抱えやすく、深刻な健康障害を招きやすいハイリスク状態です。彼の話の中で興味深かったのは、孤独は肥満より健康に悪い、同居者がいるのに『孤食』は高リスク、運動より人とのつながりが、長生きに関係する要因であるということなどでした。
これはよく考えると、犬を飼育することにより多くは改善する気がします。先ず家庭内の会話はがぜん増えます。子供に関することでは口論にもなりますが、愛犬に関する話題は多く、そして、和やかです。中高年の男性が一人で散歩していても、警戒はされても誰も話しかけたりはしません。しかし犬を連れているだけで、警戒感は薄れ、会話が始まるかもしれません。
千葉県では昨年児童が犠牲になる不幸な事件があり、このたび、犬の散歩を利用した児童の登下校を見守る、『ワンワンパトロール』を千葉県警察と千葉県獣医師会で立ち上げました。これも犬の飼育者と社会との関わり方の一つです。
そのほかにも、動物との交流により、幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンが増加するという報告や、動物飼育は健康寿命が延び、医療費も抑制されるという報告もあります。是非、行政や多くの関連団体とともに高齢者の動物飼育支援について考えればと思います。動物と入居できる高齢者施設の増加、優良な老犬ホームの増加と支援、里親制度の充実、など他にもいろいろあると思います。これはもはや動物の福祉や動物愛護というよりも、人の福祉です。
 日本動物病院協会の理念の一つは『獣医学を通して、社会貢献をする』です。
私達動物病院で勤める人々は、日々の診療を通して飼い主の幸福に役立ちたいと、思っています。病気を治し、動物の苦痛を和らげ、生活の質を上げて寿命を延ばす。これは目的ではなく手段なのです。動物を飼って幸せだったと感じていただき、また新しい動物を連れてご来院された時、初めて評価されたのだと感じています。
 最後に、6月に大阪で開催した『JAHAどうぶつフェスタ』におきましては、多くの皆様のご参加、ご協力、そして、ご協賛に感謝申し上げます。JAHAどうぶつフェスタは、動物と暮らすためのしつけや楽しみ方を知っていただくためのイベントになっています。様々な年代の方にご参加いただいていますのが、高齢者の方にも動物を飼育していただけるきっかけになれればと思っております。

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